ピーター・ズントー(ペーター・ツントー)とグラウビュンデン州の建築家たち
バーゼル出身のピーター・ズントーPeter Zumthor(1943年生まれ)はグラウビュンデン州の建築家のリーダー的存在です。ズントーの作品によってスイス発の建築という考え方が国内外に発信されました。ズントーは細部までとことんまで追求する完璧主義者として知られています。その作品はシンプルで独創的、近代的ですが、現実的でもあります。光と素材が重要な位置を占めています。限られた資源で最大限の効果を発する作品によって、ズントーは魅力ある建築家の地位を確立しました。
グラウビュンデン州の小さな山里につくられた温泉スパ施設「テルメ・ヴァルス Therme Vals(1996年)」で有名。ズントーは、この岩盤の中に掘られた温泉に、静かでほとんど瞑想的とも言える場所を作り出しました。ヴァルスで採れた石材と温泉の水、穏やかな光が見事に調和した建築作品の傑作です。そのほかスムヴィッチ Sumvitgの聖ベネディクト教会(1988年)、クールのローマ遺跡シェルター、クール郊外マサンスの老人ホームなど、グラウビュンデン州を中心にいくつもの作品を手がけています。また、海外ではスイス国境に近いオーストリアのブレゲンツ美術館(1997年)なども有名です。